シネクドキ・ポスターの回路

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こんな映画を観た!〜7月編〜

 

 

はじめに

絶賛、映画熱再燃中のまさがきです。先々月の記事(↓です。よければぜひ)に続いて、今回は7月に観た作品の中からおすすめ映画をセレクト、ご紹介していきたいと思います。

nonstandard369.hatenablog.com

最近どういうわけかホラー、スプラッター系に傾倒していて、今回のラインナップもそっち系が多めになっています。順番は観た順そのままにしてしまったので、ジャンルも制作年も節操ない並びです。ご了承ください。

 

 

ギルバート・グレイプ (1993)

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ギルバートは、アイオワ州で暮らすグレイプ家の次男。夫を亡くしてから過食症を患い引きこもりの母、ふたりの姉妹、そして知的障害を持つ弟アーニーの一家を、ギルバートは大黒柱として支えていた。そんなある日彼は、祖母とふたりトレーラーで町を訪れたベッキーと出会い……。

ジョニー・デップ主演、巨匠ラッセ・ハルストレム監督の代表作。勝手に王道ものかと思っていましたが、良い意味でちょっと変わった映画でした。マイノリティの痛みを描きながらも、感傷的になりすぎない爽やかさが印象的。現在「12ヶ月のシネマリレー」という企画の第一弾作品として劇場上映中です。

 

 

ノロイ (2005)

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ドキュメンタリー作家・小林雅文が自宅の全焼事件の後、謎の失踪を遂げた。彼が残した怪奇ルポの最新作『ノロイ』は想像を絶する内容であり、お蔵入りが検討されたものの、一瀬隆重によるプロデュースのもと、白石晃士監督によって編集・再構成され、ここに映画作品として蘇った……。

邦画モキュメンタリー・ホラーの第一人者、白石晃士監督の代表作。とにかく過激。お蔵入りになったビデオ作品という体をとることで、映画やメディアという枠組そのものを破壊している感じがします。作られたホラーの究極形と言えるのではないでしょうか。凶悪な情報過多っぷりも、ここまでくると痛快です。

 

 

A (1998)

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地下鉄サリン事件の発生直後。オウム真理教に対する社会の態度を、団体の広報副部長を務めていた荒木浩の視点を中心として取材、構成したドキュメンタリー。マスコミの強引な取材体制、警察による理不尽な逮捕の現場などが捉えられ、映像の一部は冤罪の証拠物件として提出された。

ドキュメンタリー作家・森達也監督の代表作。一言で言うと、とにかく胸糞悪いです。マスコミ報道陣のデリカシーの欠如っぷり。不当逮捕のくだりはまるでコントですが、あれで本当に逮捕されているのだから恐ろしいです。ただやはり当事者も当事者で、現在だからこそいろいろ考えさせられた作品でした。

 

 

X (2022)

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自主映画制作のため、とある農場を訪れた撮影クルーの若者たち。滞在のために借りることとなった小屋で、彼らは農場の主であるハワード、そしてその妻のパールに出会う。不気味な雰囲気を感じながらも、撮影は快調に進む。しかしその夜、壮絶な恐怖体験が彼らを待ち受けていた……。

久々に劇場で観たホラー作品。しかも公開日の初回上映で観ました笑。良い意味でレトロな雰囲気が小気味よく、残酷描写満載、過去の名作ホラーへのオマージュも満載、A24らしい小難しさも含めて、ひたすらマニアックで面白かったです。あと、かなり衝撃的な仕掛けが組まれています。最後まで全く気付きませんでした。

 

 

死霊のはらわた (2013)

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ドラッグ依存症の克服を目指すミアは、彼女を見守るために同伴した兄デイヴィッド、そして三人の友人たちとともに、人里離れた山小屋に滞在することとなる。訪れた日の夜、ミアは禁断症状に苦しみながら、恐ろしい怪奇現象に襲われる。彼女は「帰りたい」と懇願するが……。

サム・ライミ監督の出世作であり、80年代屈指の傑作スプラッター死霊のはらわた』を再構築したリブート作品。脚本・制作としてライミ監督も参加しています。オリジナルよりも洗練された仕上がりながら、容赦なきスプラッター描写はなお健在(むしろ残虐度は上がったかも)で、新旧ファン楽しめる傑作だと思います。

 

 

スプライス (2009)

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遺伝子研究者の夫妻・クレイヴとエルサは、遺伝子合成により新しい生命体(ハイブリッド・アニマル)を生み出す研究に取り組む一方、その裏で密かに、人間の遺伝子を含んだハイブリッド・アニマルを生み出そうとしていた。そしてある日、ついに生命体は完成し、その姿を現した……。

傑作サスペンス『CUBE』で知られるヴィンチェンゾ・ナタリ監督が手がけた、いわば「SF版イレイザーヘッド」とでも言うべき、かなり変態寄りの傑作SF。不気味で、哀れで、かつテーマがしっかりしていて、展開もえげつなくて凝っています。制作総指揮として、怪物映画でお馴染みギレルモ・デル・トロ監督が参加。

 

 

蜘蛛女のキス (1985)

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ブエノスアイレス郊外の刑務所。同じ房に入った、未成年との淫行で逮捕された女装家のモリーナと、政治犯として逮捕された革命家の青年バレンティン。ある日モリーナは、自分が愛してやまない恋愛映画のあらすじを語り始める。その話題をきっかけに、次第に打ち解けていく二人だったが……。

刑務所の話でありながら、ほとんど房のワンシチュエーションで会話だけで展開していく前半がかなり新鮮で面白かったです。モリーナの語りに合わせて挿入される古典映画のシーケンスも含めて雰囲気が最高。そしてなにより、アカデミー賞をはじめ幾多の男優賞に輝いたモリーナ役ウィリアム・ハートの演技が圧巻です。

 

 

呪詛 (2022)

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出産した直後から里親に預けていた娘・ドォドォをようやく引き取り、ルオナンは母娘ふたりでの新生活を始めようとしていた。しかし、その日の夜から二人の周囲で謎の怪奇現象が多発。ルオナンは真相を究明すべく、自身を襲い、娘と離れる原因にもなった、ある「事件」と再び向き合うことになる。

自国台湾での歴代最高売上の達成を皮切りに、世界中でムーブメントを巻き起こしたファウンドフッテージ・ホラーの傑作。全編デジタル撮影ながらも、90年代のJホラーなどを彷彿とさせる、えもいわれぬジメジメ感が見事に演出されています。クライマックスの展開もなかなか衝撃的で、恐ろしいです。

 

 

呪怨 (2000)

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小学校教諭の小林は、最近不登校が続き、連絡さえ取れない佐伯俊雄の自宅を訪れる。そこで彼は、俊雄の母・伽耶子が大学時代の同級生であることを知り、想像を絶する恐怖に襲われることになる。その後も呪いは、その家に住んだ者へ、訪れた者へ、次から次へと際限なく伝播していく……。

今やジャパニーズ・ホラーを代表するシリーズとなった『呪怨』シリーズの原点。独特な恐怖描写、そしてシリーズ特有の「時間軸が交錯する」構成の妙がすでに確立されており、ビデオ作品でありながら今観てもなお安っぽさ、古さをまったく感じさせない名作です。二ヶ月後には続編となる『呪怨2』も発売されました。

 

 

ドント・ルック・アップ (2021)

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ミシガン州立大学天文学を学ぶケイトは、ひょんなことから新たな巨大彗星を発見する。教授のランドールとともにその軌道を計算したところ、約六ヶ月後に地球に衝突することが判明。地球滅亡の瞬間が迫っていることに気付いた二人は、その事実をなんとか人々に知らせようとするが……。

豪華キャスト共演、数々の傑作コメディで知られるアダム・マッケイ監督による傑作ブラックコメディ。前半は単なるコメディという印象でしたが、後半〜クライマックスの生々しさ、容赦のなさ、そして未来への祈りを感じさせるメッセージに胸打たれました。エンタメ作品らしい綺麗なオチも、なんだかジーンと来ます。

 

 

おわりに

いかがでしたでしょうか。相変わらず節操もへったくれもないセレクトとなりましたが、それでも本記事が何かしらの再訪や出会いのきっかけ、一助となったら嬉しいです。興味があったら、是非ご覧になってみてください。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。