シネクドキ・ポスターの回路

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新アルバム発売記念〜80年代のムーンライダーズ <番外編>

オリジナルアルバムに収録されなかった名曲の数々

11年ぶりの新アルバム『It's the moooonriders』の発表を(勝手に)記念して、バンドの黄金期と考える80年代に発表されたアルバム全六枚を、二ヶ月にわたり紹介させていただきました。ニューウェーブへの傾倒〜コンピューターの導入〜旧来のバンド形態の解体という、その革新性に満ちた足取りを改めて辿ることができました。

さて、80年代のムーンライダーズが発表したアルバムは『カメラ=万年筆』から『DON'T TRUST OVER THIRTY』までの六作品ですが、この他にもアルバム未収録のシングル曲やライブ音源など、数多くのリリースが存在しています。今回はそれらのレア(?)音源から、おすすめの名曲を紹介していく「番外編」です。

 

 

 

地下水道 (シングル『彼女について知っている二、三の事柄』収録)

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5th『カメラ=万年筆』からのシングルカット『彼女について知っている二、三の事柄』のB面に収録された一曲。A面『彼女について〜』の、いわゆるダブ・ミックスです。1980年当時、誕生して間もない「ダブ」をいち早く導入した、おそらく日本でも最初期のダブ・ミュージックと言えるでしょう。

 

エレファント (シングル『エレファント』収録)

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アルバム『カメラ=万年筆』に続いて、1981年に発表されたシングル。とりあえず、これをシングルとして発表した心意気がスゴいと思います。確かにポップではあるものの(実際、ソニーのCMソングとして採用されています)構成も音響もかなりマニアックな印象。その捻くれっぷりにハマると堪らなくカッコいい一曲。

 

ヴィデオ・ボーイ (Acoustic) (シングル『エレファント』収録)

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シングル『エレファント』のB面に収録された一曲。オリジナルは4th『MODERN MUSIC』に収録されたもので、シンセサイザーを中心としたアレンジだった原曲を、武川さんのバイオリンをフィーチャーしたアコースティック・アレンジでリメイク。オリジナルとはまた趣の異なる、味わいの深いアレンジです。

 

GYM (シングル『M.I.J』収録)

8th『アマチュア・アカデミー』からのシングルカット『M.I.J』のカップリング曲。雰囲気としては『30』などに近い、かなりポップで聴きやすい一曲です。スポーツジムに勧誘され、入会した男の受難を描いたユニークな歌詞が印象的。A面の『M.I.J』ともども、資生堂のCMソングに採用されました。

 

夏の日のオーガズム (シングル『夏の日のオーガズム』収録)

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10周年イヤーの1986年、バンド初の12インチシングルとして発表された一曲。なかなか口にしづらいタイトルながら、キャッチーなメロディーと80年代テイスト全開のクールなアレンジがカッコいい、ムーンライダーズ流ポップにおける屈指の名曲。個人的には、曲単位ならばこの曲こそバンドの最高傑作だと思います。

 

今すぐ君をぶっとばせ (シングル『夏の日のオーガズム』収録)

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圧倒的な名曲『夏の日のオーガズム』そのB面もまた、バンド屈指の人気を誇る名曲です。ウッドベース(?)の音色が印象的なアレンジもさることながら、振られた男の心情を綴った、ひたすらに情けない「負け惜しみ」の歌詞が素晴らしい一曲。

渋い私は 晩年にはもっと立派だ 今すぐ君は電話しなさい

 

夏の日のオーガズム (Live) (アルバム『THE WORST OF MOONRIDERS』収録)

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同じく1986年に発売されたライブベスト盤『THE WORST OF MOONRIDERS』に収録された『夏の日のオーガズム』のライブテイク。10周年ライブのアンコールで演奏されたもので、10年分の過去音源をメドレー風に編集したテープと人力演奏を融合した、17分におよぶ大作。まさに10周年の集大成と言える、圧巻の演奏です。

 

 

ぜひ今こそ!80年代のムーンライダーズ

以上「80年代のムーンライダーズ」その魅力を、全オリジナルアルバム(+α)を通してご紹介させていただきました。魅力のすべてをお伝えすることは出来なかったと思いますが(試聴も短すぎて正直イマイチかと思います苦笑)これがひとつのきっかけになって「ちょっと聴いてみようかな」と思っていただけたら嬉しいです。

次回はちょっと、この企画を通して思いついた題材があるので、それを書きたいと思います。ムーンライダーズ vs. 〇〇〇、というものです。お楽しみに笑。