シネクドキ・ポスターの回路

映画や音楽を楽しみに生きています。

ザ・バットマンを観た。モニターは大きければ良いわけではない。

2022年も、あっという間に四月です。気付けばすっかり満開の桜に、もう四分の一が終わっちゃったんだなあ、と感じ入るこの頃。今年こそ状況が落ち着いて、しばらく出来ていなかった諸々が出来るようになると良いですね。

 

新年度ということで、というわけでもありませんが、ちょっとブログのデザインを変えてみました。併せて現実でも、デスク周りのレイアウトを変えてみました。具体的に書くと、ディスプレイとして使っていたモニターを外して、ノートパソコン自体のディスプレイを使う形に変えました。

というのも最近、こうして文章を書いていたり、その他いろいろ作業をしていると、どうにも目の疲れがひどくて、作業がなかなか捗りませんでした。何が良くないんだろう、いわゆるブルーライト的なアレのせいなのだろうか、それとも照度とかを調節するべきなのだろうか、いろいろ調べていたら、こんな文言を目にしました。

 

” モニターが大きいと、発せられる光の量が多いので、目に負担がかかります。”

 

え、そういう問題?と、けっこうビックリしました。

モニターなんて大きければ大きいほど良い、としか考えていなかったから、目から鱗でした。確かに言われてみれば、画面が大きいほど光量が増えるのは当然です。だからそのぶん目に負担がかかってしまう、というのも、なんとなくだけど分かる。

 

いま使っているモニターは、決して「とても大きい」というほどではありませんが、パソコンのディスプレイに比べれば1.5倍くらいはあるものです。だから大きく見ることができて、全体も細部も把握しやすくなり、作業環境もすっかり充実……したはずだったのですが、まさかその「大きさ」が仇となっていたとは。

 

じゃあ少し小さめのモニターを買うか?と一瞬だけ血迷ったのですが、いやパソコンそのまま使えばいいんだ、とすぐに我に返って、普段使いの時はモニターを外すことにしました。結果、以前よりも目の疲れは軽減されたように感じます。やっぱり、そういうことだったみたいです。画面って、大きいほど良いわけではないんですね。

 

大きい画面といえば、この間『ザ・バットマン』を観ました。

 

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特典で貰ったミニポスター。これは4DXバージョン、別にScreenXで観た人向けのもあるらしい。

 

オンリー・イン・シネマという表記の通り、最近よくある上映&配信同時解禁とかではなく、映画館のみでの公開のようです。私は本作を、人生初の4DXで観ました。

 

4DXというのは、映画の内容に合わせて座席が揺れたり煙が上がったり匂いがしたり水が噴射したりする、映画というよりライドアトラクションみたいなスゴいシステムです。そして本作は「4DXで観ずに何で観る」というくらい、バリバリに4DX仕様、オンリー・イン・シネマが納得の内容でした。

 

雨のシーンでは、ちゃんとぽつぽつ水が降ってきます。カーチェイスのシーンでは座席がガタンガタン揺れ、車が爆発炎上すれば熱気がふわっと耳を掠めます。本作はきっとこれらの効果を見越して制作されたのでしょう。梅雨かってぐらいに雨は降るし、カークラッシュも事故どころの規模じゃありません。

個人的に面白かったのは、犯人のアジトに潜入する時の、ゆっくり座席が傾いてぐわーんと平衡感覚が失われていくような効果。地味ながら生々しくて印象的でした。

 

ストーリーは……どうなんだろう。過去のバットマン映画を観たことがないので、比較して吟味したりすることが出来ません。だけど、クライマックスの展開は印象的でした。最後の最後で〇〇たちと戦うことになるというのは皮肉で、しかし今の時代を見事に反映した展開だと思います。全編でキーワードになっている「復讐」という言葉も、まさに現代の世相を言い当てた言葉なのだと、ここで理解できました。

 

ただ、三時間たっぷりのストーリーは人間関係等かなり複雑で、理解度としては正直あやふやです。なんか『ゴッドファーザー』を初めて観たときくらい置いてきぼり食らった気がします。そのくらい複雑。

たぶん、原作ファンには周知の要素を「問答無用」として説明スルーしているのだと思います。やっぱり一通り原作は踏まえておけばよかったな、とちょっとだけ後悔しました。だけど『ゴッドファーザー』のような、複雑な物語を読み解いた先にあるカタルシスを期待できるかというと、それは微妙かもしれない、とも思ったり。

 

でも初めての4DX、充分に楽しめました。もはや「映画鑑賞」の領域ではなのかもしれませんが、自宅では味わえない体験であることは間違いありません。たとえ新作でも配信で観られてしまったりする昨今、映画館のアピールポイントというのはやはり大画面の迫力、あるいはこうしたアトラクション的なアプローチなのだと思います。

 

実際、私も最近行くのはもっぱらシネコンで、とんとミニシアターには行かなくなりました。単館はどうしても規模が小さくて、環境的にも「大きいテレビ」くらいの印象しかないこともあり、それでわざわざ赴いて高いチケット買うなら「配信とかレンタルで充分だ」と思うようになってしまいました。

それで最近は、観に行くのも単館系というより王道寄りの映画が多くて、個人的には映画そのものに対する印象が変わってきていたり。

 

やっぱり、せっかく観るなら大きい画面で、大きい音で観たいのです。映画を手軽にする「配信」の打撃を受けるのは、きっと大きな映画館ではなくて小さな映画館なのだろうと、改めて思いました。

 

というわけで、私の周りの「小さくなっていく画面」と「大きくなっていく画面」の話でした。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。