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たぶんもう観られない『世にも奇妙な物語』名作5選!

ドラマ『世にも奇妙な物語』幻の名作をご紹介!

30年以上にわたって愛され続ける長寿ドラマ『世にも奇妙な物語』。

これまで二回にわたって、その膨大な作品群の中から珠玉の「おすすめ作品」をご紹介してきました。

第一回は「配信/ソフト化されている名作セレクション」として、今すぐに観ることのできる名作をご紹介しました。

第二回は「このあいだ再放送された名作セレクション」として、もしかしたらまた観られるかもしれない名作をご紹介しました。

そして三回目となる今回は、ついに「もう観られない名作セレクション」ということで、もはや再放送すら望むことのできない幻の名作たちを(もう観られないと思うけど)ご紹介します!

 

 

 

世にも奇妙な物語』が再放送されない理由

ドラマ『世にも奇妙な物語』は諸般の事情から、再放送の難しいドラマとして知られています。詳しい内容は、前々回の記事でご紹介しました。

nonstandard369.hatenablog.com

再放送されない理由として最も多いもののひとつが「事務所の事情」です。このドラマはエピソードごとに主演キャストが変わるため、各話ごとにキャストが所属する芸能事務所の方針のもと、再放送できるかどうかが決まります。

また、該当のエピソードが「事務所NG」になっていなくても、同じ放送回の他のエピソードが制限にあたっていると、いわば「巻き添え」を食らうような形で再放送が困難になってしまう、というケースも少なくありません。

ちなみに、今回ご紹介する作品のうち『23分間の奇跡』以外はすべて、この理由から再放送が難しくなっているエピソードです。具体的に書くと……同じ放送回に「某アイドル事務所」所属のタレントが出演した作品が含まれているため、再放送できなくなっているというわけです。

オムニバスドラマの宿命とも言える事情なので仕方ないのですが、やはり名作が埋もれてしまうのは惜しいばかりです。

 

 

たぶんもう再放送されない名作5選!

というわけで今回は『世にも奇妙な物語』シリーズから、配信/ソフト化されておらず、再放送さえ(ほとんど)実現したことのない、もう一度観るのは絶望的と言えるであろう名作をご紹介します。

観られないものを紹介してどうするの、とお思いの方もいらっしゃるかもしれません。うーん、どうすると言われても、どうしようもないです!

それでは早速、ご紹介していきます!

※本編画像が手に入らないため、イラストでご紹介します。

 

『23分間の奇跡』(1991年12月26日 冬の特別編)

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J・クラベルによる短編小説を映像化、洗脳の過程を淡々と描いた戦慄のドラマ

出演:賀来千香子 脚本:石井信之 演出:河野圭太

とある小学校の教室に、新任の女性教師・鈴木マリ(賀来千香子)が現れる。この日からクラスの担任を務めることになったというマリに、はじめは不信感を示す子供たち。しかしマリの巧みな弁舌によって、生徒たちは次第にマリのことを慕うようになり、言われるがままに新たな「教育制度」を受け入れていく……。

本放送以来、一度も再放送されていない幻の作品ながら、現在もなお高い人気を誇るシリーズ屈指の名作です。人気投票でも15位にランクインしました。原作はイギリスの小説家ジェームズ・クラベルによる短編小説。アメイジング・グレイスをバックにした強烈なラストシーンは、一度観たら忘れられません!

 

『恐竜はどこへ行ったのか?』(1994年7月7日 七夕の特別編)

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強烈な演出と佐野史郎の怪演が光る、恐竜絶滅を大胆に解釈した傑作スリラー

出演:松下由樹佐野史郎 脚本:中村樹基 演出:星護

医学生・水谷(松下由樹)は、自傷癖を引き起こす精神疾患の論文のための取材で、とある隔離病棟に入院している元脳科学教授・田口(佐野史郎)のもとを訪れる。なんとか話を聞こうとする水谷だが、田口の言葉は支離滅裂で理解できない。すると突然、田口が絶叫した途端、その胸元が何者かに切り裂かれ……。

スプラッター風の大胆な演出と、強烈な印象を残す佐野史郎の怪演が見どころの異色作。恐竜絶滅をユニークに解釈したストーリーは非常に見応えがあり、SFとしても楽しめる一本と言えるでしょう!

[追記] 2023年11月、『傑作選〜星護監督特集』にて、まさかの再放送が実現。

 

『壁の小説』(1996年10月2日 秋の特別編)

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中村×星タッグによる屈指の人気作、鮮烈な映像美で描かれるサスペンスの名作
出演:大塚寧々、升毅 脚本:中村樹基 演出:星護

アメリカ帰りの女性刑事・三神(大塚寧々)は、FBIで学んだプロファイリングをもとに、ある連続殺人事件の犯人を追っていた。三神はある日、事件の詳細を完璧に言い当てた小説を書いたという男の存在を知る。隔離病棟に入院中の男、その部屋はびっしりと文字で埋め尽くされており、中には三神の記述も……。

映画『羊たちの沈黙』を彷彿とさせるダークな世界観が印象的な、番組名物「中村樹基×星護」タッグを代表する名作。壁一面にびっしりと書かれた小説など、圧倒的なビジュアルイメージで描かれる怪異譚は、全編を通してクールな美意識が貫かれており、不気味ながらもスタイリッシュな一編に仕上げられています!

ちなみに本作は、今回のラインナップで唯一、再放送されたことのある作品でもあります(とはいえ、それも20年以上前のことですが……)。

 

『奇数』(2000年3月27日 春の特別編)

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柳葉敏郎がセリフなしの表情芝居で魅せる「奇妙」らしさ全開のシュールな一編

出演:柳葉敏郎 脚本/監督:杉本達

ある路線バスに乗り込んだ会社員の中田(柳葉敏郎)は、ある奇妙なことに気づく。乗客がひとつの停留所ごとに一人ずつ、まるで順番が決まっているかのように降りていくのである。気づけば車内に残された乗客は、中田ともう一人。しかし中田の目的地までには、あと二つの停留所が待ち構えており……。

セリフなし&ワンシチュエーションで繰り広げられ、柳葉敏郎の顔芸が光りまくるシリーズ屈指の異色作です。一切の説明がないまま淡々と続いていく内容は不条理きわまりなく、最高にシュールな大オチを含めてあまりに「奇妙」なその内容は、この番組でなければ実現不可能なものと言えるでしょう。

 

『影の国』(2003年3月24日 春の特別編)

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狂気的な妄想をめぐる緊迫の会話劇、大杉漣の怪演に圧倒される傑作サスペンス
出演:桜井幸子大杉漣 脚本/演出:落合正幸

心理カウンセラー・若桜は、過去のカウンセリングの記録映像をチェックしているうち、身に覚えのないカウンセリングの映像を発見する。確かに診察しているのは自分のようだったが、患者の男(大杉漣)のことはどうしても思い出せなかった。だが、記録されていた男の話は、あまりに常軌を逸した内容で……。

こちらも、全編のほとんどを会話劇が占める異色作。また、哲学的な題材をテーマとして取り入れている点でも珍しい作品です。見どころはなんといっても、大杉漣の怪演ぶり。意味不明な論理を淡々と語り続ける男を、見事な迫力で演じきっています。静かな緊迫感にあふれた、シリーズ屈指の隠れた名作です!

 

 

数々の名作を生んだ『世にも奇妙な物語

いかがでしたか?三本の記事にわたって、シリーズを代表する名作の数々をご紹介してきました。改めて、ドラマ『世にも奇妙な物語』の溢れるクリエイティビティと、日本ドラマ史における唯一無二の偉大さを、感じていただけたのではないかと思います。

埋もれさせておくにはあまりに勿体ない傑作の数々、ぜひ三年後の35周年に向けて、配信/ソフト化/再放送を(ダメもとで)期待したいところですね!

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

 

イラスト素材:いらすとや(https://www.irasutoya.com