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また観られるかもしれない『世にも奇妙な物語』名作5選!

ドラマ『世にも奇妙な物語』再放送された名作を紹介!

今年で放送32年目を迎える、日本有数のオムニバスドラマ『世にも奇妙な物語』。前回は、配信サービスやDVDで観ることができる作品の中から、おすすめのエピソードをご紹介しました。

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しかし現在、諸般の事情から配信/ソフト化されているのはシリーズの歴史のうち、ごく一部の作品に限られています。というわけで今回は、今すぐに観ることはできないけど「もしかしたらまた再放送されるかもしれない」作品群の中から、名作を厳選してご紹介します!

 

 

 

世にも奇妙な物語』どこで再放送されてる?

ドラマ『世にも奇妙な物語』の再放送は、主にフジテレビが運営しているCSチャンネルフジテレビTWO」での放映、加えて各地方局/フジテレビでの放映で実施されています。いずれも不定期の放送で、放送頻度は決して高いとは言えません。放映される作品についても、権利関係の問題からか一部の作品に限られている傾向にあり、本放送以来一度も再放送されていない作品も少なくありません。

とはいえ、配信/映像ソフトがあまり充実していない現在、再放送は過去作を視聴できる貴重な機会となっています。久しく放映されなかったエピソードが十数年ぶりに再放送された際などは、大きな話題を呼ぶこともあります。

近年では、番組25周年を記念して実施されたCS放送でのレギュラー放送回の一挙再放送が、ファンの間で話題になりました。およそ50回分に及んだ再放送の中には、本放送以来はじめて再放送されるエピソードも多数含まれており、25周年にふさわしいファン大歓喜の企画となりました。

また、こちらも25周年企画のひとつとして実現した、地上波放送での「真夜中の特別編」も大きな反響を呼びました。過去作からの傑作選として、人気エピソード投票企画で8位にランクインした『懲役30日』や、シリーズ初期を代表する隠れた名作『三人死ぬ』などの激レア作品が十数年ぶりに再放送され、ファンだけでなく幅広い層から好評を集めました。

 

 

また再放送されるかもしれない名作5選!

今回は、先述の25周年企画の際に再放送された作品の中から、厳選した名作5本を「また再放送してほしい」という願いを込めて、ご紹介します。もしかしたらまた観れるかもしれない……くらいの気持ちで読んでいただけたら幸いです!

 

『女優』(1991年5月9日 第31回)

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会話劇の果てに待つ衝撃のどんでん返し、短編ならではの魅力を詰め込んだ名作

出演:ジュディ・オング長塚京三 脚本:野依美幸 演出:星護

大女優の吉永あずさ(ジュディ・オング)は、演じる役柄と現実の自分の区別がつかなくなる症状に悩まされていた。殺人者の役を演じることになった吉永は、精神科医長塚京三)にカウンセリングを依頼する。精神科医は治療の一環として、その役を自分と一緒に一度、演じてみることを提案する。クリニックに用意された撮影スタジオで芝居が始まると、吉永の様子が豹変し……。

番組初期を代表するエピソード『女優』は、シリーズの中でも屈指の名作として知られ、今なおファンからの根強い人気を誇る一編です。番組創始者の一人として数々のエピソードを手がけ、現在もプロデュース/演出で番組を支える小椋久雄も「一番好きな作品」として本作を挙げています。見どころはなんといっても、クライマックスの衝撃的などんでん返しです。観る者を翻弄する予測不能の展開は、短編でしか実現できない芸当であると言えます!

 

『見たら最期』(1992年8月6日 第70回)

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呪いの映像を観た面々が次々と死んでいく……巧みな恐怖演出が光る傑作ホラー

出演:筧利夫 脚本:寺田敏雄 演出:本広克行

心霊番組のディレクター・杉田(筧利夫)は、室町時代から伝わるという「泣き人形」伝説の取材テープに、不可解な人影が映っていることに気づく。本物の心霊映像を撮影したことにスタッフの面々は盛り上がるが、そこへ一本の連絡が入る。取材に同席し、テープの映像も観た心霊研究家が、心臓発作で急死したという。それを皮切りに、映像を観た者が次々と謎の死を遂げ……。

シンプルなストーリーながら、全編わずか12分ほどで起承転結を描ききるテンポのよさが秀逸な名作ホラーです。見どころはその巧妙な演出。映像に映り込んでいた人形の亡霊が、各シーンで登場人物の背後に映り込んでいたり、各所に1フレームだけ挿入されていたりと、サブリミナル的な手法によって紛れ込んでいます。後に『踊る大捜査線』を手掛ける本広克行による、恐ろしくも遊び心を感じさせる演出が秀逸な、何度観ても楽しめる一編です!

 

『サブリミナル』(1992年12月30日 冬の特別編)

f:id:NonStandard369:20220228210818p:plain高齢化社会をいち早くテーマに取り入れた、強烈な演出が印象を残すスリラー編

出演:東幹久、森本レオ 脚本:高山直也 演出:星護

近未来。日本では、急速な人口増加ならびに全人口の三分の二を占める深刻な高齢化が社会問題になっていた。新人記者の西村(東幹久)は、ベテランである神野(森本レオ)とタッグを組んで取材を進めるうち、自殺する高齢者が急増していることに気付く。不審に思った二人は独自に調査を進め、あるCMに隠された恐るべきメッセージ、そして巨大な陰謀の存在を知る……。

シリーズ有数の社会派作品として知られる本作は、シリーズ初期の作品でありながら今なお根強い人気を誇り、先述の人気投票企画では第29位にランクインしました。物語のカギとなるCM、その秘密が明かされるシーンはあまりに不気味で強烈、一度観たら忘れられないシリーズ屈指の名シーンです。救いのない結末も含め、重厚かつシリアスなストーリーは恐ろしく、また社会風刺として現代だからこそ考えさせられる作品と言えるでしょう。まさに時代を先取りした名作です。

 

『そのボタンを押すな』(1995年1月4日 冬の特別編)

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圧巻の一人芝居と、短編ならではの大胆な展開が見どころのブラックコメディ

出演:西村雅彦、寺田農 脚本:中村樹基 演出:星護

ある部屋に、一人の男(西村雅彦)が連れられて来る。男は、この部屋でしばらく待っているよう指示され、閉じ込められた。コンクリート打ちっぱなしの無機質な部屋には、椅子がたった一つ、そして「押すな」という文字とともに、ひとつの赤いボタンがあった。はじめは興味を示さなかった男だったが、長く待たされているうち、ボタンを押したい衝動が沸き起こってきて……。

今もなお語り継がれる、シリーズ屈指の問題作です(笑)。見どころはまず、前半部分をまるまる占める西村雅彦の一人芝居。部屋に閉じ込められ、ボタンの誘惑に取り憑かれた男を、発狂寸前のハイテンションで見事に演じきっています。ひたすら男の挙動不審っぷりが続く前半に対し、後半は予想外の展開へ。そして、物語はすべての伏線を回収し、あまりにもバカバカしく、ブラック極まりない結末を迎えます。マッドネスの『ワン・ステップ・ビヨンド』が耳に残る怪作。

 

『迷路』(2003年9月18日 秋の特別編)

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フルCGで描かれた圧巻の映像美、唯一無二の世界観で描かれる傑作サスペンス
出演:谷原章介板谷由夏 脚本:中村樹基 演出:星護

今や廃墟と化した、とある巨大迷路施設。世界最大級の迷路としてオープンした当初、大金を賭けたイベントが催されたが、参加した全員が行方不明となり、程なくして施設は閉鎖されたという。そんな噂に惹かれ、探索に乗り出した呉田(谷原章介)をはじめとする面々は、万全の準備をしていたはずが、ふとした拍子に道標を失ってしまう。彷徨ううち、一行はひとりの男と出会う……。

シリーズにおいて数々の傑作を手がけた名タッグ「中村樹基×星護」による人気のサスペンス編。投票企画では第20位にランクインしました。巨大な迷路をフルCGで表現するという、短編とは思えない大胆かつ贅沢な手法により、シリーズでも随一の圧倒的な世界観が描かれています。ミノタウロス伝説とSF要素を融合させた個性的なストーリーも印象的です。放映から長い年月が経ってもなお、多くの視聴者の記憶に刻まれ、支持されているのが頷ける名作です!

 

 

ドラマ『世にも奇妙な物語』には他にも名作が多数!

いかがでしたか?今回ご紹介した他にも『世にも奇妙な物語』には数々の名作が残されています。25周年企画で再放送された作品の中では、衝撃的な結末が見どころの落合正幸演出作『おばあちゃん』や、鬼才・星護の独特な演出センスが光る異色作『大蒜』、のちに『ケイゾク』『TRICK』等のヒット作を手がけた堤幸彦の演出作『城』などが挙げられます。こちらも是非、また再放送されることを期待したいですね!

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!