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今すぐに観られる『世にも奇妙な物語』名作5選!

ドラマ『世にも奇妙な物語』すぐ観られる名作をご紹介!

1990年の放送開始以来、30年以上にわたって支持されてきた人気オムニバスドラマ『世にも奇妙な物語』は、その唯一無二の内容で数々の傑作短編を生み出してきました。しかし、映像ソフトや配信サービスで鑑賞することができる作品は、その膨大な作品群の中でもごく一部に限られています。今回は、配信サービス/DVDで鑑賞可能な作品の中から、おすすめの名作5選をご紹介します!

 

 

 

日本有数のオムニバスドラマ『世にも奇妙な物語』とは?

日本を代表するオムニバスドラマとして知られる『世にも奇妙な物語』は、1989年に制作された深夜ドラマ『奇妙な出来事』を前身として、1990年に放送を開始しました。アメリカの大ヒットSFドラマ『ミステリーゾーン』を下敷きとした不可思議な内容は日本ドラマ界でも唯一無二であり、放送開始から30年以上を数える現在もなお、他に類を見ないドラマとして人気を博しています。

その物語の数々は、身も凍るような怪異譚からホロリとさせられる感動話まで幅広く、短編ならではのイマジネーションに溢れた数々の名作が生み出されてきました。作品ごとに主演を務める豪華なキャスト陣も、オムニバス形式ならではの見どころと言えるでしょう。世代を問わぬ魅力から幅広い層の支持を受け、今や長寿番組となった『世にも奇妙な物語』ですが、その30年以上にわたる歴史の中で制作されてきた過去作のほとんどは配信/ソフト化されておらず、視聴が難しい状況となっています。

 

どうして過去作がソフト化/再放送されないの?

ドラマ『世にも奇妙な物語』は根強い人気を誇りながらも、現在そのほとんどの作品が視聴困難となっています。その要因としては、いくつかの事情が挙げられます。

ひとつは、制作会社の問題です。シリーズ初期のレギュラー放送時代、本番組は一時間の枠を三本の短編で構成する形で毎週放送されていました。短編といってもドラマ制作に変わりはないので、実質として三倍のスタッフ・キャストが必要になります。結果、フジテレビによる自社制作だけでは間に合わず、外部の映像会社が制作を担当する回が少なくありませんでした。

このために生じた権利問題から、本作はソフト化/配信が困難な状況となっています。再放送に関しても制作会社の合意が必要となるため(担当した会社がすでに倒産しているケースもあり)容易ではないのです。

また、出演者の問題も要因のひとつです。本作はオムニバスという構成のために毎回キャストが変わるため、特定のエピソードが出演者の所属事務所の意向により再放送/ソフト化が見送られる、というケースが少なくありません。そのうえ構成上、一回で放送される三話/五話のうち一話でも制限がかかってしまうと、その放送回ごとお蔵入りになってしまう可能性が高いという事情もあります。

このように、オムニバスドラマならではの都合によって『世にも奇妙な物語』は現状、配信やソフト化ならびに再放送が難しい状況になっているのです。

 

 

配信/DVDで観ることができる名作5選!

現在、配信や映像ソフトで鑑賞できるエピソードはごく一部ですが、その中には番組の歴史に残る傑作も少なくありません。ここからは、今からでも手軽に視聴することができる『世にも奇妙な物語』の名作5本を紹介していきます!

 

『プリズナー』(1991年 第19回)

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恐るべきビデオテープの都市伝説に取り憑かれた青年の末路を描く怪異譚

出演:高橋一也竹中直人 脚本:戸田山雅司 演出:星護

(フジテレビ・オンデマンドにて有料配信中)

レンタルビデオ店を片っ端から巡っていた青年・秀夫(高橋一也)が探していたのは、ある一本のビデオテープだった。東欧で秘密裏に制作された『プリズナー』という名の幻のビデオを、秀夫はある店でついに発見する。家に帰って再生すると、映し出された男(竹中直人)が画面越しに語りかけてきた……。

ビデオテープを巡る都市伝説がテーマという点で、この後に刊行された大ヒット小説『リング』を彷彿とさせる一編。ちなみに『リング』の発刊は1991年の6月、この作品の放映からおよそ四ヶ月後のことでした。本作の魅力はなんといっても、ビデオテープの中に広がる異空間を見事に体現した星監督のセンスあふれる演出。そして、その不気味な世界観に説得力を与える竹中さんの怪演も見どころです。巧妙なラストシーンも含めて、高い人気を誇る作品です!

 

『ルナティック・ラブ』(1994年 冬の特別編)

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邦画界を代表する鬼才が手がけた、豊川悦司の狂気が光るサイコ・サスペンス

出演:豊川悦司、ちはる 原作/脚本/演出:岩井俊二

(DVD『世にも奇妙な物語 DVDの特別編1』収録)

僕(豊川悦司)はある日、恋人の紀子(ちはる)が他の男と関係を持っていることを知る。僕は紀子の友人に接触し、相手の男の正体を探っていく。そして、ある満月の夜。紀子の家の前で待ち伏せしていた僕の前に、あの男を連れて紀子が現れた。僕の怒りは頂点に達し、感情のままに紀子の家のベルを鳴らした……。

今や日本映画界を代表する監督のひとりとなった鬼才・岩井俊二が演出を担当、豊川悦司の怪演とも相まって独自の世界観が炸裂した一編です。こうした強烈な作家性をテレビドラマの枠の中で実現できるのも、オムニバスの醍醐味のひとつだと思います。登場人物は少なくシンプルなストーリーですが、最後には衝撃的な結末が待ち受けています。まるで一本の映画を観たような満足感を味わうことが出来る、個人的にもオススメの作品です!

 

『女は死んでいない』(1997年 秋の特別編)

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取調室に届いた謎のメッセージ、豪華キャストによる緊迫感あふれるサスペンス

出演:杉本哲太大杉漣 原作:渡辺浩弐 脚本/演出:落合正幸

(DVD『世にも奇妙な物語 DVDの特別編2』収録)

銀行強盗の大阪(杉本哲太)は、駆けつけた警察の目をかいくぐり何とか裏口から脱走したものの、そこでひとりの女性職員と鉢合わせてしまう。大阪は職員を刺殺し、咄嗟に目撃者のふりをして切り抜けたが、警察の取り調べを受けることになる。担当刑事(大杉漣)との息詰まる駆け引きの中で、大阪が持っていた暗号交換用のポケベルが鳴った……。

なんといっても、杉本哲太VS大杉漣の緊迫感あふれる演技合戦が見どころの一編。さらに脇役陣にも六角精児、田中哲司木村多江など、今となっては主役級の豪華な面々が揃っています。シリーズ最多の演出作を誇る落合正幸が手がけた本作は、緊迫の強盗シーンから始まり、サスペンスフルな尋問シーン、さらに暗号解読の謎解き要素も含みつつ、最後はやはり「奇妙」な結末を迎える……という、ある意味シリーズとしての最高到達点とも言える、充実の一編です!

 

『雪山』(2000年 映画の特別編)

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映画ならではの壮大なスケールで描かれた「シリーズ史上最恐」のホラー作

出演:矢田亜希子鈴木一真 脚本:鈴木勝秀 演出:落合正幸

(DVD『世にも奇妙な物語 映画の特別編』収録)

海外旅行を終えて帰路に着いた美佐(矢田亜希子)だったが、旅客機が雪山に墜落。生き残ったのは美佐と友人の麻理を含めた五人だけだった。一行は地図を頼りに、数キロ先の山小屋へと向かう。途中、一行は怪我のせいで歩けなくなった麻理を「必ず迎えに来る」と説得し、置き去りにしてしまう。ようやく山小屋を見つけ、美佐はすぐに麻理を助けに向かったが……。

2000年、番組の10周年を記念して制作された『映画の特別編』の中の一編であり「シリーズ史上最恐」の呼び声も高い一編。映画監督としても多くのホラー映画を手がけた落合監督の巧みな演出、そして衝撃的なラストが強烈な余韻を残す名作です。崩壊した旅客機を含め、雪山の光景はすべてセットとしてスタジオ内に組み上げられたもので、塩と片栗粉を混ぜて作られた14トン分の人工雪が用いられたそうです。まさに映画でなければ実現不可能なスケールですね!

 

『BLACK ROOM』(2001年 SMAPの特別編)

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シリーズ屈指の異色コメディ、シュールな会話劇の果てに呆然必至の衝撃展開

出演:木村拓哉樹木希林志賀廣太郎 脚本/演出:石井克人

(DVD『世にも奇妙な物語 SMAPの特別編』収録)

アメリカに留学中のナオキ(木村拓哉)は三年ぶりに帰国、両親を驚かそうと何も伝えないまま実家に帰ってきた。しかし、辿り着いた実家はだだっ広い真っ暗な空間に様変わりしていた。再会した両親(樹木希林志賀廣太郎)に何があったのか問いただすナオキだが、話を逸らされ一向に会話が噛み合わない。苛立つナオキ、その時「事件」は起こった……。

2001年の元旦に放送された『SMAPの特別編』では、各話の主人公をSMAPの面々が演じ、大きな話題を呼びました。本作で主演を務めたのは木村拓哉、シリーズとしては四度目の主演です。両親役の樹木希林志賀廣太郎との絶妙に噛み合わない会話はあまりにシュール、さらにクライマックスの衝撃的などんでん返しも含め、コメディ編としてもシリーズ屈指の人気を誇る傑作です。その独特な映像世界は、CMディレクターとして知られる石井克人によるもの。

 

 

ドラマ『世にも奇妙な物語』には他にも名作が多数!

いかがでしたか?今回ご紹介した他にも『世にも奇妙な物語』には数々の名作が存在しています。ソフト化/配信されている中では、衝撃的な結末から今なお根強い人気を誇る傑作『懲役30日』や、主演を務めた菅野美穂さんの怪演が光るホラー編『私は、女優』、予想外の結末に思わず「社会とは何か」考えさせられる人気作『13番目の客』などが挙げられます。興味のある方は、ぜひこちらもチェックしてみてください!

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!