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今年まさかの復活!伝説のカルトドラマ『キングダム』の魅力に迫る!

みなさん、明けましておめでとうございます!

なかなか先行きの見えない状況が続いていますが、本年が皆様にとって良い一年となることを願っています。

 

さて、皆さんにとって2022年といえば何の年でしょうか?

北京オリンピック世界陸上FIFAワールドカップ……などなど、今年もイベントが盛りだくさんの一年ですが、しかしなんと言っても2022年といえば!いよいよ伝説の未完ドラマ『キングダム』の新シリーズ放送の年です!

というわけで今回は、史上最強のカルトドラマの異名を誇る『キングダム』の魅力をご紹介していきます!

 

 

 

デンマーク発!伝説のドラマ『キングダム』って?

まずは、ドラマ『キングダム』の概要について紹介していきます。

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視聴率50%超え!世界的巨匠が手がけた大ヒットドラマ

ドラマ『キングダム』は、1994年と1997年にデンマークで放送されたテレビドラマです。4話で構成された2つのシーズンで、合計8つのエピソードが放送されました。脚本と監督を務めたのは、名作『ダンサー・イン・ザ・ダーク』などで知られる世界的巨匠の映画監督ラース・フォン・トリアーです。当時まだ新進気鋭の若手監督であったトリアーによって手がけられた本作は、そのダークで強烈な内容にも関わらず、本国デンマーク50%を超える驚異的な視聴率を記録、日本でも5時間弱に再編集されたバージョンが劇場公開され、カルト的な人気を誇りました。

2022年、25年越しの完結編シリーズが放送!

熱狂的な支持を受けた前2シーズンに続き、満を持しての「完結編」として制作が予定されていた『キングダム』の第3シーズン。しかし、その撮影を前にして主演俳優であったエルンスト・フーゴ・イエアゴーが逝去してしまいます。その後も複数名のメインキャストが亡くなってしまったことで、新シリーズの制作は頓挫。ドラマ『キングダム』のシリーズ続行は不可能と判断され、未完のまま封印された「伝説のドラマ」になってしまったのです。

それから25年。なんと今年、続行不可能と言われた『キングダム』がまさかの復活、完結編シリーズの放送が決定しました!昨年の夏に撮影が行われ、現在ポストプロダクションが進行中、年内にはデンマークで放送される予定です。25年越しの新シリーズが一体どんな内容になるのか、今から楽しみですね!

 

ドラマ『キングダム』の魅力に迫る!

今年、まさかの復活を遂げる『キングダム』ですが、そのカルト的な人気の所以は、テレビドラマとは思えない(まして視聴率50%超など信じがたい)その「あまりに独特な」世界観に尽きます。というわけで、ここからはドラマ『キングダム』の魅力を、いくつかの側面から掘り下げていきたいと思います!

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魅力① 荒唐無稽で支離滅裂、独特すぎるストーリー

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まず、この『キングダム』をジャンルで表現すると「オカルトホラー」です。デンマークのとある国立病院を舞台に、人々を襲う数々の心霊現象。その裏に隠された「ある少女」にまつわる謎、そして病院の過去に隠された「ある秘密」を解き明かしていく……というのが、本筋のストーリーです。しかし、その他のサブ要素があまりに強烈なので、一筋縄ではいかない内容になっています。

というのも『キングダム』は、病院を舞台にした「人間ドラマ」でもあるのです。病院の医師や患者、中にはヘタをすると幽霊よりも断然ヤバい人も少なからずいて、それぞれの思惑が複雑に絡み合い、そこへ相乗効果とばかりに突拍子もない怪異譚が混ざり合い、物語は狂気さえ感じさせるドロ沼でカオスな展開へと突き進んでいきます。

特に後半の勢いは凄まじいのですが、いかんせん未完のまま中断したシリーズなので、一番いいところでプッツリ途切れて終わります。さすがの伝説っぷりです。

観たら思わず、作った人に「どうかしてるんじゃないか」と言いたくなるような、不気味なオカルトホラーであり、ぶっとんだブラックコメディであり、しかし流石は巨匠トリアー監督、めちゃくちゃ面白い人間ドラマに仕上がっているのです。とはいえ、いくらドラマとしての完成度が高いとしても、この内容で視聴率50%超というのは恐ろしい話です。デンマークの国民性が気になるところですね!

魅力② 個性的で狂気的、独特すぎるキャラクター

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恐ろしくてオモシロい、この上なくダークな『キングダム』の世界で、怪奇現象に翻弄される医師や患者の面々。彼らの行動によって物語が進んでいくわけですが、はっきり言ってマトモな人はひとりもいません。具体的に書くと、

デンマーク人を異常に見下していて嫌われているスウェーデン人の初老医師

・病院の地下室に陣取って裏で職員たちを牛耳っている若い医師

・悪魔と恋人になってしまいその子供を妊娠してしまう女性医師

・想いを寄せる看護師に死体の生首をプレゼントしようとする医師長の息子

・ガン細胞の標本が欲しいあまりにガンを自分の体へ移植してしまう医学者

・こんな部下たちにまったく無関心なまま毎日を能天気に過ごす医師長

・嘘の症状を訴えて数十回入院し降霊術で病院の霊を研究している老婦人

などなど、普通ひとつのドラマに一人いるかどうかレベルのクセ者ばかりが揃いに揃って(いろんな意味で)非常に濃厚な人間ドラマを紡いでいきます。みなさんは、どのキャラクターが気になるでしょうか?

魅力③ セピアで手持ち、独特すぎる映像世界

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異様きわまりない『キングダム』の世界を、トリアー監督は全編セピア調の映像で撮影しています。これは監督が、長編デビュー作である『エレメント・オブ・クライム』から頻繁に用いている手法で、本来ならばノスタルジーを演出するセピア効果をそのまま現代劇に用いることで、異次元のような奇妙な質感が演出されています。この非現実的な印象を与える効果は、ドラマ『キングダム』の常軌を逸した世界観に必要不可欠な一要素であると言えるでしょう。

また同時に、トリアー監督は本作においてハンディ撮影の手法を大胆に取り入れています。手持ち映像の臨場感は、まるでドキュメンタリーのような生々しさを感じさせ、非現実的な内容と相まって、ますます異様な印象を体現しています。この手法には監督自身も手応えを感じたようで、この後に発表した『奇跡の海』以降の長編作品においても、ハンディ撮影はたびたび取り入れられています。この作品は『ダンサー・イン・ザ・ダーク』でも観られるトリアー監督の「手持ち映像を多用する作風」の始まり、と言えるかもしれませんね!

 

 

ドラマ『キングダム』はどこで観られる?新作シリーズに期待!

いかがでしたか?今回は25年ぶりの新シリーズ放送を祝して、ドラマ『キングダム』の魅力を紹介させていただきました。

それでは、新シリーズに先駆けて『キングダム』の旧シリーズを観たい場合、どうすれば観ることができるのでしょうか?NetflixAmazon Primeなどのストリーミングサービスでは配信されているのでしょうか?

結論から書くと、残念ながら現在『キングダム』を配信しているストリーミングサービスは存在しません。また、20年近く前に発売された唯一の日本盤DVDはとっくの昔に絶盤になっており、レンタル用DVDは存在していません。すなわち、現状『キングダム』を観るためには、中古のDVD(あるいはVHS)を手に入れる以外ありません。しかし、このDVDボックスは現在かなり高騰していて、元値の倍以上にあたるプレミア価格で取引されている状況です。

詳しくはこちらをご参照ください。

 

このように現状、入手困難となってしまっている『キングダム』ですが、また同時に、近いうちに再びソフトが発売、または配信サービスに追加される可能性が高いことも事実です!

以下、新シリーズのプレスリリースとして発表された情報です。

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どうやら、すでに日本における新シリーズの配給をSYNCA CREATIONSが獲得したようで、この配給には旧シリーズのHDレストア版も含まれている、とのことです。このHDレストア版は数年前から告知されていたもので、実際のレストア映像の一部も公開されていたのですが(上記、魅力③の項にリンクを貼った動画です)実際にソフト等として発売されることはありませんでした。今考えてみると、今回の新シリーズに合わせるために発売を延期していたのだと思われます。

旧シリーズのHDレストア版、そして新作である完結編シリーズともに、日本でも何らかの形で鑑賞することができるのはほぼ確実と言っていいかと思います。いつ観られるのか、どんな形で公開されるのか、今から楽しみですね!

 

やはり今年は、25年越しの『キングダム』の年になりそうな予感です。皆さんも是非、伝説のドラマがついに「完結」するその時を、一緒に見届けましょう!

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!