シネクドキ・ポスターの回路

映画や音楽を楽しみに生きています。

個人的2021年を振り返るプレイリストを作ってみた。

今年最後の日に、プレイリストを作った。

ふと思い立って「2021年を振り返るプレイリスト」を作ってみました。朝の電車でよく聴いていた音楽や、印象的だった映画や出来事を「音楽」で振り返ってみたりして、10曲を選んでみました。こんな年だったんだなあ、と振り返りながら、一曲ずつコメントしていきたいと思います。2021年に発売された曲ベスト10、とかではありません。40年くらい前の曲とかもあります。ご了承ください。

 

まさがきの「2021年を振り返るプレイリスト」

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01. Cool Dynamo, Right on / ムーンライダーズ

ムーンライダーズの存在は『9月の海はクラゲの海』という楽曲で以前から知っていたのですが、ちゃんと聴くようになったのは今年からでした。もともとXTCをよく聴いていて、そのうち「日本のXTCといえばムーンライダーズ」という声を耳にしたり、フロントマンである鈴木慶一さんとアンディ・パートリッジの交流などを知って、興味を持ちました。そしていろいろ聴いてみると、とてもカッコいい。ひねくれていて、アレンジ凝っていて、それでいてポップなメロディ……と、まさしくXTC的で、しかし「邦ロック」として確固たるオリジナル。

2006年に発表されたこの曲は、30周年アルバムの一曲目として発表された楽曲です。30年目にこんな瑞々しいメロディーを作れる懐の深さがスゴいです。さらに鈴木さんの歌詞がスゴい。過去作とのリンクがあり、特に『ダイナマイトとクールガイ』という楽曲(こちらもカッコいい名曲)の続編として描かれている歌詞は、聴けば聴くほど味わい深いです。

 

02. The Crying Scene / Aztec Camera

アズテック・カメラをちゃんと聴くようになったのも今年でした。オレンジ・ジュースとかはたまに聴いていたのに、なぜかアズテック・カメラにはあまり惹かれず、近所にあった大型TSUTAYAのレンタルコーナーに「オリジナルアルバム5枚セット」というお得すぎるBOXがあったにも関わらず、特に借りようとも思わないまま、あえなく大型TSUTAYA今年閉店、ちょうどその直後にバンドにハマり、痛烈に後悔している次第です。

特に帰りの電車などで、どのアルバムもよく聴いていましたが、その中から一番最初にピンときた、この曲を選びました。かなりカッコよくて、かつポップな名曲です。80年代ネオアコのよさを集約させたような、素晴らしい曲だと思います(ただ、リリースは1990年……)。

 

03. Lazy (Radio Edit) / X-Press 2 feat. David Byrne

今年いちばん観に行った映画は、スパイク・リー監督が手がけたデヴィッド・バーンのコンサート映画『アメリカン・ユートピア』でした。たぶん3、4回くらい観たと思います。ちょうど近所の映画館が「爆音上映」的な催しをしてくれていて、本当にライブを観ているような大音量が楽しく、時間を見つけて何度か観に行きました。その中で「カッコいいなあ」と思った曲のひとつが、この曲でした。

もともとトーキング・ヘッズは好きでよく聴いていたので、映画で演奏された曲のほとんどは知っていましたが、バーンのソロの方はなかなか押さえられていないものが多くて、はじめて聴く曲もいくつかありました。この曲も映画ではじめて聴いたのですが、かなり気になったのでオリジナル音源を聴いてみました。めちゃくちゃカッコいいです。いい意味で90年代らしいサウンドが病みつきになります。そこに乗る、ひたすら「自分の怠惰さ(=lazy)を歌う」シュールな歌詞もイイです。ジャケットも素敵(笑)。

 

04. Tempted / Squeeze

スクイーズを聴き始めたのも「XTCに似ているバンド」として名前を知ってから、です。加えてXTC関連で言うと、このバンドに所属するクリス・ディフォードは「XTCのマスターテープを盗み出し、しばらく隠し持っていた」ことがあるそうです。なんだそれ。

スクイーズも(特に今年の前半)いろいろ聴いていましたが、中でもいちばんポップな曲のひとつであろう、この曲を選びました。アレンジといいコード進行といい王道っぽい雰囲気でありながら、絶妙にひねくれている「らしさ」が素晴らしいです。これが好きだったら、スクイーズはハマると思います。

 

05. Try to Believe / Danny Elfman

映画『ミッドナイト・ラン』のエンディング曲。映画ではインストでしたが、こちらはボーカル入りです。歌詞といいメロディーといい、映画の雰囲気を凝縮したような素晴らしい曲なのですが、唯一このバージョンが収録されていた本サントラは、長らく配信されることもなく絶盤状態になっていて、オークションなどで値段が高騰、入手困難な状況が続いていました。そんな中、今年ついに配信・ストリーミングが解禁、この音源もようやく聴けるようになったのです。ダニー・エルフマンが所属していたバンド、オインゴ・ボインゴ名義で発表された別バージョンもあるのですが、やはりゴスペル的なコーラスの入るこちらの方が、よりポジティブな雰囲気でカッコいいです。

ちなみにダニー・エルフマンは今年、37年ぶりとなるソロアルバム『Big Mess』を発表しました。この曲とはかなり方向性の異なる、濃厚なインダストリアル・ロックでしたが、そちらもかなりカッコいいのでオススメです。

 

06. Peer Pressure / Jon Brion

映画『エターナル・サンシャイン』のサウンドトラックより。今年、この映画を久しぶりに観て、とてもとても感動して、しばらくこの映画のことばかり考えてしまっていた時期がありました(笑)。

物語としてはSFで、とあるカップルの女性が、喧嘩してしまった勢いで彼氏の記憶を消去する手術を受けてしまい、それを知った彼氏は怒り「自分も彼女の記憶を消す!」と手術を受けるのですが、その最中の潜在意識の中で、彼女との思い出が消えていくのを目の当たりにして「やはり忘れたくない」と思い直し、なんとか記憶を守ろうと手術に抵抗する……というお話です。そしてクライマックス(ごめんなさいネタバレ入ります)、抵抗したけどほとんどの記憶を消されてしまった彼は、ついに最後の記憶「出会いの日」にたどり着きます。そこでふたりは(というか潜在意識の中なので、本当は彼の独り言)ついに最後の別れを迎える、そのシーンでかかるのがこの曲です。このクライマックスがもう、本当に刺さってしまって、しばらくいろいろ考えてしまって、そういう時にいつもこの曲を聴いていました(笑)。曲だけでも思い出してしまって、ちょっと感動してしまうのです。

映画については、語りたいことが多すぎるので、また今度にします。

 

07. Steal Your Thunder / Prefab Sprout

プリファブ・スプラウトも今年、よく聴きました。以前もたまに聴いてはいましたが、ここまでしっかり聴いたのは今年がはじめてです。とにかく、聴けば聴くほど完成度がものすごい。アレンジにしてもメロディーにしても、とにかく隙がありません。特にこの曲は、とてもポップでドラマティックで、普通にヒットしてもおかしくない完成度だと思います。

この曲が入っているアルバム『Andromeda Heights』は、他のアルバムと比べるとあまりフィーチャーされないのですが、個人的にはとても好きな一枚です。パディ・マクアルーン曰く「ディズニー音楽を意識して制作した」アルバムらしく、確かにディズニーっぽい、ロマンティックな世界観が見事な一作です。この曲が好きな方は、必ずハマると思います。

ちなみに、プリファブ・スプラウトから一曲選ぶにあたっては『Jesse James Borelo』と悩みました。そちらも名曲です。

 

08. エル・フエゴ(ザ・炎)/ 小沢健二

小沢健二さんはずっと好きで聴いていて、今年新曲として発表されたこの曲も、結構聴きました。3ヶ月連続の配信リリースの一曲として発表されたこの曲は、ドラマ『珈琲いかがでしょう』の主題歌にもなりました。最初は正直、あまりピンとこなかったのですが、聴けば聴くほど歌詞が沁みてきて、気づけば口ずさめるようになっていました。

骨の中に時は降り積もる 地層のように

思い出も 思い出せないことも

こことか、本当にすごい歌詞だと思います。感動しました。

 

09. Perpetuum Mobile / Penguin Cafe Orchestra

ペンギン・カフェ・オーケストラを知ったきっかけは、たぶん坂本龍一さんのインタビューだったと思います。そしてYouTubeで検索して、最初に出てきたこの曲を聴いて、速攻で件の(今はなき)近所の大型TSUTAYAへCDを借りに行った、という経緯です。それにしても、ペンギン・カフェ・オーケストラのCDを置いてくれるTSUTAYAって、なかなかないよな、ありがたかったな……と思います。

この曲も相当聴きました。出先で綺麗な風景を見た時など、頭の中でこの曲が鳴っていた時もありました。ドラマティックで、シンプルで、カッコいいですよね。久石譲の『Summer』を聴くと昔の夏を思い出す、みたいに、この曲も聴くといろいろ思い出します。

 

10. Guru / Underground Searchlie

プリファブ・スプラウトとかアズテック・カメラなど、おしゃれな洋楽ばかり聴いていた反動(?)か、今年の終わりに突然「筋肉少女帯ブーム」が来て、10月くらいからは筋肉少女帯とか大槻ケンヂ関連の音楽ばかり聴いていました。中でもこの曲はハマり、ほぼ毎日聴いていたと思います。というか、現在進行形で聴いています。今日も聴きました。

他の曲も考えたのですが、語りがあったり、内容がやたらヘビーだったりと「大槻ケンヂっぽさ」が濃厚に感じられる曲であること、加えて個人的に一番聴いていた曲のひとつだったことから、この曲を選びました。この曲の語りは初めて聴いた時、かなりジーンと来ました。特に「お前が人に本当に伝えたいことだけを〜」のところ。オーケンの語りは、聴き手に向けられていながら、同時に自分に言い聞かせているような緊張感があって、刺さります。女性ボーカルを巧みに用いたアレンジ、終わり方もいい感じです。

この曲は筋肉少女帯として発表されたバージョンもあり、そちらは語りなどがなくなってシンプルなアレンジになっています。橘高さんのギターが聴けたりして、そちらもカッコいいのでオススメです。

 

私の2021年、音楽で振り返るとこんな感じでした。自分ではあまり音楽を聴いていた印象なかったのですが、思ったよりもいろいろ聴いていたみたいです。さて、来年はどうなっているのでしょう。とりあえず、しばらくは「筋少ブーム」が続くと思います(笑)。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。みなさん良いお年を!