シネクドキ・ポスターの回路

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小沢健二さんのリリース発表に(毎度ながら)驚かされた日。Part.2

2021年11月19日。

natalie.mu

前回の記事では、この日に発表された『犬』の再発盤について、いろいろ感じたことを書きましたが、実はこの日に発表されたリリース告知は『犬』だけではありませんでした。もう一枚あったのです。再発盤『犬』と同日発売の新作シングル『飛行する君と僕のために/運命、というかUFOに(ドゥイ、ドゥイ)』です。

 

個人的には、こちらの告知の方が驚きが大きかったです。それは『運命、というかUFOに』という完全新曲に対して、というより、これまでライブだけで演奏されていた『飛行する君と僕のために』が音源になってリリースされる、ということへの驚きでした。

 

このニュースに合わせて、小沢さんが久しぶりにTwitterを更新しました。

見た順番としては、

サイト「amass」さんのツイート

②この小沢さんのツイート

③音楽ニュースサイトの記事

だったので、まず①で『犬』の再発に驚き、②で『運命、というかUFOに』という新曲が出ることに驚き、最後に③で『飛行する君と僕のために』という表記を目にして驚愕、きれいな三段オチ(違う)で驚かされた次第です。

 

楽曲『飛行する君と僕のために』といえば、もともと2016年のライブで発表されたもの。復活シングルとなった『流動体について』や、SEKAI NO OWARIとコラボした『フクロウの声が聞こえる』などと同じタイミングで発表された曲です。

そしてその後、2017年に出演したフジロック・フェスティバルでは、演奏した2つの公演それぞれで1回ずつ(アレンジを変えて)披露され、さらに2019年のアルバム『So kakkoii 宇宙』リリース直前ライブでも演奏されました。

当時、まだ発表されていなかった最後のアルバム収録曲を「これだったか!」と確信し、大いに沸いた客席に向けて、演奏直後のMCで「これはアルバムには入ってません、ライブだけでやっていくつもりです」と言い放つという、じゃあなんで演ったんだよ!と、誰もがツッコみたくなる「事件」もありました。

(ちなみに演奏した理由は「Twitterでリクエスト募集したら票が多かったから」らしい)

 

それから約3ヶ月後、こんなツイートもありました。

いや『飛行する〜』のネタ笑、って、音源にさえなっていないのに。それどころか、ついこの間「音源出しません」宣言しておいて。

 

なんというか、そんな曲です(伝わらない)

 

いや、実際どんな曲なのかと言うと……”旅立ちへの不安と、それに立ち向かう勇気”が力強く描かれた歌詞を、とてもクールで格好いいメロディーに乗せて歌い上げる、音源リリースされていなかったのが不思議なくらいの名曲、です。復活後の楽曲群にはあまり見られない、どこか渋くて切なさを感じさせる曲調がとてもカッコよく、またそこに乗る歌詞がものすごい。

眠れない夜が濾過ろかする

勇気を燃やし 飛び立てる

サビの一部。ものすごい表現だと思います。詩的であり、それでいて切実。曲全体に渡って語られ続ける「迷い」と「決意」が、どこか哀愁を感じさせるメロディーに乗せて、切なく、そして力強く歌い上げられています。過去作だと、2010年のライブで発表された『時間軸を曲げて』にも、似た趣を感じます。

(リリースされていない云々などと書きながら、歌詞まで引用して語ってしまいました……)

 

ちょっと意表を突いたタイミングではありますが、ついに『飛行する君と僕のために』音源が来ます。まあ『So kakkoii 宇宙』から、もう2年経っていますからね。あの時の「音源化しません宣言」も、時効を迎えた早くない…?)のかもしれません。

ということで、いつも通り予期せぬ(できぬ)驚きを与えてくれた小沢さんのリリース告知でしたが、今回は特に「いつも以上」だったかもしれません。特に『飛行する〜』の音源化を知ったときの高揚感は、音楽ニュースであれほどテンションが上がったのは久しぶりのような気がします。これを楽しみに、しばらく頑張ります。

 

シングルは、さすがに買おうと思っています。借りません。

 

【追記その1】

デザインが公開されました。プラケースというのがちょっと意外。前に「記憶の中では、あのCDケース絶対どっか割れてる」って、おっしゃってましたね。だから布で守られているのか……?

 

【追記その2】

新曲『運命、というかUFOに』の一部が公開されました。ビックリしました。めちゃくちゃカッコいい。それこそ『飛行する君と僕のために』に通じるような、ちょっとした切なさを感じます。そして、この2曲の若干ナイーブなテイストは、1stアルバムの『犬』に通じている、とも言えると思います。相変わらず格好いいアレンジ、けっこう今っぽいオシャレな雰囲気。そこにラップ。いや、ポエトリー・リーディングか?言葉の洪水のような歌詞、この30秒だけでも濃密な情報量を感じます。カイリー・アーヴィング検索かけました。ティーザーの時点でググることになるとは……。

いやあ『飛行する〜』も楽しみですが、こちらもかなり楽しみです。個人的には『流動体について』と並ぶ、復活後のシングルで最高作かもしれない、と予感しています。